【こんな症例も治りますシリーズ 813】『 セカンドオピニオン診療 : 腎臓病だと思っていたら、実は別の可能性が見えてきた猫さんのお話 』も適切な診断と治療でコントロールします

↑ 上の写真は、腎臓のエコー検査画像です。

■ 悪性腫瘍があると言っても、臓器の形を壊すようなタイプばかりではありません。

■ 今回のように全体に悪性細胞が浸潤して、臓器の形がキレイなタイプもあります。

 

── セカンドオピニオンで見えてきた、本当の病気の姿

 

 

猫 ラグドール 9歳 オス(去勢手術済)

 

 

【腎臓病と言われて点滴治療を続けていたけれど、なかなか元気が戻らなかった】という猫さんが来院されました。

 

 

 

◆◆ セカンドオピニオン診療として当院を受診された時点では、

 

 

・ 食欲が落ちている

・ 体重が減ってきている

・ 元気が戻らない

といった状態が続いていました。

 

 

 

■ 他院では『腎臓の数値が高い』とのことで皮下点滴を中心とした治療が続けられていましたが、体調は思うように改善しなかったそうです。

 

 

 

■■ 当院での検査で分かってきたこと

 

■ 当院での検査を進めていくと、腎臓だけでは説明しきれない所見がいくつか見えてきました。

 

・ 腎臓はやや大きい(左右差あり)

・ 腹腔内リンパ節の腫大

・ 強い炎症反応

・ 一時的な高熱の既往歴

 

 

■ これらを総合すると、単純な腎臓病だけではなさそうだと判断しました。

 

 

 

■■ FIP(猫伝染性腹膜炎)の可能性は?

 

■ 強い炎症反応や発熱の経過から、FIPの可能性も慎重に検討しました。

 

■ しかし、検査結果や経過を総合的に評価した結果、FIPの可能性は次第に低くなっていきました。

 

 

 

■■ 低悪性度リンパ腫という可能性は?

 

■ 検査結果を総合すると、進行のゆっくりした『低悪性度リンパ腫』の可能性が『 最も整合性の取れる診断 』として浮上しました。

 

■ この病気は、すぐに確定診断がつかないことも多く、経過を見ながら判断していく必要があります。

 

■ 確定診断を付けるためには、腫脹した腎臓やリンパ節に対する病理診断をするのですが、諸事情でそこまで検査を進めることは出来ませんでした。

 

 

 

■■ 現在の状態

 

■ 現在は食欲もあり、体重も増加し、元気に過ごしています。

 

■ ご家族と相談のうえ、今は強い治療を行わず、全身状態を見ながら、負担の少ない治療と支持療法を段階的に行っていく方針としました。

 

 

 

◆◆ 『すぐに答えが出ない病気』 もある 

 

■ この症例で大切だったのは、

 

• 一つの検査結果だけで決めつけないこと

• 病気の“経過”を積極的に診ること

• 必要以上に強い治療を急がないこと

でした。

 

 

 

■ 病気によっては、

時間をかけて見えてくる答えもあります。

 

 

 

***

 

 

 

◆◆ セカンドオピニオン診療について

 

 

■ セカンドオピニオン診療は、

これまでの治療を否定するものではありません。

 

 

『 本当にこの治療で良いのか 』

 

『 他の可能性はないのか 』

 

を別の視点から見直すことで、

その子に合った治療の選択肢が見えてくることもあります。

 

 

 

 

■ 今回の症例も、

検査と経過を丁寧に追い、必要な治療を段階的に行うことで、

現在は落ち着いた状態を保つことが出来ています。

 

 

 

獣医師 伊藤雅志

 

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